☆前島司「ラーメンも一流の料理である」

『プロ直伝!本気でつくる秘伝のラーメン』辰巳出版


☆前島司「食べた人の脳裏に焼き付くようなラーメンを」

『東京カレンダー』2002年2月号株式会社アクセスパブリッシング
P80〜81「今こそ魚ダシで勝負する究極の3軒を押さえる」



☆前島司「魚介系ラーメン、塩ラーメン、そして豚骨ラーメンと、いろいろなラーメンの店を出すのはそれぞれのジャンルで認められたいからです。
次は味噌ラーメンの店にも挑戦したいですね。」


『TOKYO 1週間』No.234 2003年9月2日号 講談社
P80〜81「うまい店しか載せません! 実食!ラーメンJUDGE 〜有名店が新たに作ったブランドがブーム。〜」最強ラーメン王 石神秀幸がセレクト



☆前島司「世間をアッと驚かせたいですね。何でも“初”が好きなんです。実は来年も“史上初”の試みをするつもりです。」

『TOKYO 1週間』No.243 2003年12月9日号 講談社
P39「ラーメン オブ ザ イヤー 2003」せたが屋 優秀賞



☆前島司「らーめんは神からの素晴らしい贈り物 この贈り物にリボンを掛けるのが 私の仕事」

『決定! 04〜05 ラーメンランキング 首都圏版』 P61「カツオが爆走!環七の帝王」にて


☆Q「ラーメン屋を始めたきっかけは?」
 前島司「ラーメンに関しては一生懸命になれた」

Q「座右の銘は?」
前島司「最善か無か」※ダイムラー=ベンツ創立者・ゴットリーブ・ダイムラーの言葉


『本当にウマイラーメンだけをラーメン王・石神秀幸が300軒集めました
〜石神秀幸太鼓判 首都圏ベストラーメンガイド2006〜』双葉社P37



☆Q「せたが屋、ひるがお、大大のラーメンの共通点は?」
前島司「水以外に共通点はないです」


『おとなの週末』2007年1月 週刊現代増刊号新年特大号 No.51 講談社
「覆面調査330店〜いま本当に旨い店はどこ?ラーメン番付最新版」byめんくい鈴木 P39



☆前島司「魚の味が前面の出汁が売りです。豚骨や鶏ガラも混ぜて動物のコクも充分に出しています。
チャーシューもそのスープで煮込み、二年熟成のタレに漬け込むんです」


P6『食楽』 No.32 2008年1月 徳間書店


☆前島司「本当にうまいラーメンの為には、非効率的なことも苦にならない」
   「人を採用する上で最も大事にしていることは人柄です。人柄が良くないと、らーめんがおいしくてもいずれ失敗します。
何故なら、らーめんは作り手の気持ちが全てどんぶりに表れてしまうからです。」
「漫画家がいろいろな作品を描くように、僕もいろいろならーめんを作りたいです。
でも、しょうゆ、みそ、塩、それぞれに合うスープやトッピングは全然違うんですね。
同じもので作ると全てが中途半端になってしまう。それだけはしたくないんです。
だから、基本的にひとつの店ではひとつの味です」
「独学で修業をしたから、随分回り道もしましたが、引き出しはたくさん出来ました。
それが新しい味作りに生きています」
「独立したのは37歳。未知の仕事に飛び込む不安もありましたが、それ以上に絶対に成功する自信がありました」

Q「前島さんにとってらーめんとは?」
前島司「天から与えられた仕事であり課題です。
らーめんを作っている瞬間が一番幸せだし色々考えます。
だからこそ気合いを入れて前へ進むことが出来ます。」

Q「今後、ラーメン界はどうなりますか?」
前島司「人気店でも店の味を頑固に貫く店と、新しいことにチャレンジする店が分かれるのではないでしょうか。
そして本物だけが残って行くでしょう。」

Q「ずばり、ラーメンは稼げますか?」
前島司「人気に便乗するだけなら瞬間的には稼げてもやがては淘汰されます。
僕は良いものを出してじっくり時間をかけてお客さんを掴みたいです。」


P8『ガテン』2007年No.51 リクルート


☆P48Q:味の違い「○○の塩、○○の醤油…といった調味料の違いは、御客様にもわかるような味の違いはあるのでしょうか」

前島司「わかりにくいので積極的に提示します」
   「僕の店では『○○の塩、○○の醤油を使ってます』と書いたものを店に置くようにしています。
これは、いい材料を使っていることをお客さんに分かってもらわないともったいないからです。
知ることによっておいしく感じることもありますし、どう違うのかを楽しんで食べてもらいたいと思っています。
確かに良い塩や醤油、みりんなどは厳選した材料に手間と時間をかけて作っていますので、それ自体の味わいには奥深いものがあります。
しかし、これらを只使えば良い物が出来るということは全くありません。
要は使い方です。主役はあくまで出汁で、これを引き立てるのが調味料の役割。
調味料に頼り過ぎると味ばかりになり、例えば塩の場合はしょっぱさが立ってしまいます。
感じるか感じないかのバランス、これが一番ベストな状態です。」

P51Q:鶏ガラの味の違い「スープに使う鶏ガラですが、銘柄鶏とブロイラー鶏では味は変わるのでしょうか」

前島司「旨味や香り、脂も全く違います」
   「ほとんど身動きの取れない場所で短い生涯を終えるブロイラーと、
自然の中で伸び伸びと時間をかけて育つ地鶏や銘柄鶏とは、
骨格から肉質まで全て違いますから、当然ダシの旨味や風味も違います。
また、ブロイラーから出た脂は少し臭みがありますが、
地鶏から出た脂には滋味深い風味や旨味、コクがあり、
特にこの脂がスープをおいしくしてくれます。 ただ、使い方を間違えるとブロイラーと大して差がなくなったりする事もあります。
材料の組み合わせや、部位ごとに過熱時間をうまく調整する必要性がありあす。
何せ高価な材料ですから大切に使いたいものです。
僕は綺麗で新鮮な鶏ガラを使うとすごくいい気分になります。
こういったメンタルな部分においても、良い材料を使うことにメリットがあるのではないでしょうか。」

P83Q:ダシの味の補い方「ダシの出方が足りない時には、どうやって補っていますか」
前島司「短時間で旨味を補える食材を加える」

   「うま味調味料は、スープに何か物足りなさを感じた時に入れるとかなる旨くなります。
しかしスープによって不自然さが出るし、入れ過ぎると味がぼやけて個性の無いスープになってしまいますから僕は使いません
。肉系が足りないなら鶏や豚のミンチを使って素早く補います。
魚介系ならばカツオ節や宗田節のうす削りをサッと入れます。
煮干しは生臭さが出てバランスを崩しやすいので使いません。
甘味ならば玉ネギのみじん切りとか。
いずれの場合も短時間で旨味を補うことが、スープの劣化を防いでバランスを崩さない方法だと思います。

ういったことは、オープンしたてで仕事を掴みきれていない時に起こりがちですが、これもブレの一環なのでやはりスープは一発で決めたいですね。
事前に防ぐことが賢明です。」

P91Q:香油油での重視点「香油油で一番重視しているのはどの点ですか」

前島司「全てです」
   「ラーメンのオーラというのは、そのスープの表面の輝きにあると言っても過言ではないと思います。
それは黄金色にキラキラ輝くものだったり、茶色く鈍く光るものだったり、
雪のように真っ白だったり…とラーメンを最も印象づけ、オーラを放つのが香油油です。
そして、丼から立ち込めてくる香り、スープを最初に飲んだ時、麺を最初にすすった時の味、
この大切なファーストコンタクトを担っている香油油は、決して手を抜いてはいけない部分です。
よって香油油の命は、香り、味、色、質感、全てです。
これらは鮮度によって保たれていますので、酸化にはもっとも気を遣っています。」

P101Q:メンマ「メンマはどうやって選びましたか」

前島司「ラーメンのキャラに合わせて選びました。」
「メンマは、ラーメンに合わせて色々なものを使い、味付けもラーメンに合わせて自分で味付けしています。
例えば、塩ラーメン細めで繊細な印象を与えるものを使い、インパクト重視のラーメンには極太を使うなど
全体のバランスを考えて使い分けしています。
味付けに関しては、スープのバランスや色を崩さないように、塩ラーメン用は塩味で味付け、
醤油味には醤油で味付けをします。
通常使うのは、1〜2日水で戻せば使える作業効率が良い塩蔵メンマです。
乾燥メンマは、戻す手間がかかりますが歯応えはとても良いです。
スペースの問題で、限定メニューなどで効果的に導入しています。
ラーメンを完成させるためにメンマは必要。顔でいえば眉毛みたいなものです。」

P104Q:味付け玉子「味付け玉子に使う卵は、特別なものを使っていますか」

前島司「色と味の良い銘柄鶏や地鶏の卵」
「基本的に地鶏や銘柄鶏の卵を使っています。
やはり、黄身の色がオレンジがかって綺麗で鮮やかだし、味にコクがあります。
最初は、普通の卵を使っていましたが、食べ比べてみると全然違うので、
銘柄鶏や地鶏の卵を使うようになりました。
他には、大きめな卵を使い、インパクトや高い満足感を与えるようにしています。
味付け玉子はお客さんが最も期待するトッピングですから、神経を遣っております。」

P129Q:製麺所選び「製麺所はどうやって選びましたか」

前島司「柔軟性と妥協しない頑固さ」
「僕は人と同じ麺はあまり遣いたく無いので、いつも変わった麺を作ってもらいます。
1玉に3種類の麺を入れたり、木臼で麺を打ってもらったり、麺の断面を三角にしてもらったり、
悪ノリに近い感じなんですが、そういった柔軟性と麺づくりに決して妥協しない頑固さ兼ね備えた製麺所でないとダメですね。
開店時に製麺所を決める時は、電話帳で探して片っ端から電話してみました。
大方断られましたが、今御世話になっている製麺所は『やってみましょう』と言ってくれた所です。
そんな製麺所と出会えたおかげで今の『せたが屋』があると思ってます」

P153Q:人気を高めるには「人気を常に高めていくためには何が必要でしょうか」

前島司「いつもスタートの気持ちを持つ」
   「人気があると言われるのは、すごく嬉しいことですが、人気なんていつの間には消えてしまうのが、今のラーメン業界です。
新しくておいしい店がどんどん増えていますが、僕はそんな新しい店を先輩だと思い、
その先輩を追い抜こうと、いつもスタートの気持ちでやっています。
何故なら、新しい店は古い店の良いところを見習い、凌駕しようと研究を重ねてオープンさせてますから、
たかをくくっていると置きざりにされます。
追われるよりも追う気持ちが大切だと思います。」

P157Q:注目の新食材「最近、注目している食材を教えてください」

前島司「新しい組み合わせや使い方に注目」
「ラーメンの食材も『あと何があるのかな?』って考えるほど、色々出ましたからねぇ。
新しい食材を探すより、新しい組み合わせや新しい使い方に注目しています。
例えば、僕は最近、東京・世田谷に『中華そば ふくもり』という店を始めましたが、
ここはガラを一切使わずに大量のアジの煮干しと鶏の肉やボンジリだけでスープを取っています。
両者とも変わった材料ではありませんが、組み合わせや使い方を変えることによって今までに無い味を作り出すことが出来るのです。
僕は奇抜な食材を使うことより、ラーメンらしさを失わないオーソドックスな食材の中で素晴らしい味を見付け出すことが好きです。
守るものは守って、時には日常の観念を捨て、発想を換えることも大切だと思います。」

P158Q:メニュー開発「新作メニューをどれくらいの期間で出していますか」

前島司「良いものが完成した時です」
「むやみに新メニューを出すことはしません。
限定シーズンが来ても良いものが出来なかったら出しません。
逆に、自分のアイデアが浮かび、お客さんの注目や期待に応えられるようなものが完成すればいつでも出します。
ただ、タイミングは大切です。
ラーメン業界の空気を読んで、限定シーズンや流行に合わせることも時には必要です。
加えて、出すタイミングと共に引き際のタイミングも肝心です。
『そろそろ飽きてきたかな』という時期はもちろん、新作の人気が高くなって定番メニューのバランスを崩すような際にはやめた方が良いと思います。
新作メニューは店のアピールになりますし、
お客さんを喜ばせ、飽きさせない為にも必要なアイテムだと思います。」

P170Q:お客様とのトラブル「お客様とのトラブルでどんな点を注意したら良いでしょうか」

前島司「言い訳せず、大げさな位にケアすることです」
「トラブルを完全に無くすことは気を付けていても難しいですね。
トラブルが起きてしまったらその後が大事だと思います。
クレームに対しても絶対に言い訳をしてはいけません。
まず、非を認めて誠心誠意謝り、お客さんが店を出るまでケアをする
。加えて、損得勘定もいけません。
トラブルを程度で図って対処するのではなく、些細なことでも常にMAXな気持ちで挑む姿勢が必要です。
お客さんにはトラブルがきっかけでリピーターになってもらう、
それ位の気持ちにさせる大げさなケアをした方が良いのです。
また、細かいことですが、ラーメンの調理時間が長くかかる場合は、
貼紙などで待たせる旨を伝えておいた方が賢明です。
発券機のおつりの取り忘れなどの注意書きも忘れずに、
先手を打ってなるべくトラブルは未然に防ぎたいものです。」

P189Q「最後に伺います。ラーメンはくれたものは何ですか?」

前島司「一生続けて行ける仕事と仲間たち」
「時間を惜しみ無く使え、一所懸命になれる、苦にならない仕事は、これしか無いかなと思います。
共に話が出来る、一緒に働くスタッフや同業者の方に巡り合えたこともラーメンのおかげです。
ラーメン店をやっててほんとよかったです。」


☆『有名店主が答える 開業法・味づくり・経営のラーメンQ&Aブック』旭屋出版MOOK


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